モノのちから


モノ余りの時代と言われて久しい
何でも持ってる現代の日本人
本当にほしいものなんて本当はないのかもしれない

自分の仕事を考えると
いつもそんなことを思う

こんなモノ余りの今の時代に
モノをつくっている自分にその必要性や責任を問うてみても
もちろん正解なんてない

それでも悶々と考えているうちに

 「モノには力がある」

このことを、
私は信じていることに行き渡り
だからこそ今日も作り続けることができる


ではモノの力とはどんなものだろう

着るとウキウキしてどこかへ出かけたくなるセーターや、
誰かに手紙を出したくなる便せんや、
意味もなく文字を書いてしまう万年筆
ついつい使ってしまうコーヒーカップやお皿
誰にでもそんなお気に入りのものがあるはずだ

それらは
心を浮き立たせてくれ
時には穏やかにしてくれ
空間を明るくあたたかくし
元気をくれる

人のこころをプラスに動かすモノ
それがモノの力だと思う

古いのも新しいのもひっくるめて
自分と関わっているモノのことを思うと
自分が自分らしくあるために
知らないうちにモノに頼っていることがとても多いことに気づく

モノはその日の気分に意外な影響を与え
人は知らず知らずにそれを享受している
だから自分にとって良い影響を与えてくれるモノを選ぶことは
とても重要になってくる


私の仕事は量産には程遠く
それほど多くを作ることができるわけではない
だからなおさら思うのだ

仕事や学校の帰り、
あの土鍋で料理をしたい!とウキウキと家路を急いだり
嫌なことがあって鬱々とした気分でいても
この土鍋でごはんを作っておなかいっぱいになったら
少し楽しくなった・・・
そんな風に誰かの心を動かすことのできる
「力のあるモノ」を作りたいと

時間をともに共有していくことのできる
使いたいと強烈に思ってもらえるもの
使い捨てられいくらでも取り換えのきくようなものではなく
確かな生活の一部になってゆくもの

誰かの人生の一幕に
あたたかい影響を与えることのできる
私はそんなモノを作りたい

TOUBOU NANAKAMADO /// Photo :Kanoko Kobayashi